LGBT

学会初の認定医誕生で公的医療保険適用か?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

2017年3月7日 配信
引用元:Business Journal

俳優・生田斗真さんが主演し、『かもめ食堂』(メディアスーツ)の荻上直子監督が手がけた『彼らが本気で編むときは、』(スールキートス)。

2月25日から公開されたこの映画で、生田さんは性同一性障害の役を演じているが、今から約1年前の昨年3月20日、GID(性同一性障害)学会が東京都内で開催した総会で、初の「性同一性障害」認定医を9名決定したことを発表した。
今後5年間で、50人程度の認定医を育成し、専門的な医療提供ができる機関を増やしていくという。

性別適合手術やホルモン療法など、性同一性障害の人が必要とする医療ケアは、現在はすべて保険適用外で、全額自己負担となっているが、GID学会は将来的には保険適用をめざし、各方面に働きかけていくそうだ。

世の中に、さまざまな「性別違和」が存在するなかで、性同一性障害についての統一見解はまだ確固としていない。
もちろん、診断や治療のガイドライン(日本精神神経学会による)はあるが、臨床の現場で確定診断を下すのは大変難しく、慎重を期する。

さらに、適切な医療ケアを提供できる病院は、かなり限られている。
一般社会においては、人々の偏見も伴い、医療者以上に理解や受け皿が進まないのが実情だ。

生田斗真が性同一性障害者の役を演じる

奇しくもGID学会の発表日に、今回の映画『彼らが本気で編むときは、』で、俳優・生田斗真さんが性同一性障害者の役を演じることがわかった。

生田さん演じるリンコは、小さい頃から自分が女の子だと思っており、実生活のなかでさまざまな葛藤はありつつ、家族の理解を得ながら成長し、のちに性別適合手術を受け、恋人の男性と同棲している設定だ。
性同一性障害者の人生としては、理想的なストーリーだ。

性同一性障害者の苦しみは、単に性の不一致にとどまらない。
家族や社会の無理解、パートナーとの問題、そしてカミングアウトできるコミュニティの少なさなど、彼らを取り巻く人間関係に大いに苦しめられる。

さらに、自分の生き方を選択するときに必要な医療ケアが、全額自己負担とあって、経済的負担にも苦しめられる。
今回のGID学会の決定は、一筋の光明といえるだろう。

性同一性障害者にとって切実なアイデンティティの問題

さて、性同一性障害者にとって、医療的見地も大切だが、アイデンティティの問題はさらに切実だ。LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)と、多様な性的マイノリティが存在するなかで、「自分はいったい何者か?」という自己を確立する道のりは、筆舌に尽くしがたい。

性同一性障害は、多様な意味を持つトランスジェンダーとして括られることが多い。
もちろん、トランスジェンダーとは結びつけないという異議もあり、トランスセクシュアル(性別適合手術を実行または希望する人)との兼ね合いもある。
気持ちの整理の付け方も相まって、本人自身も明解にしにくいものだ。

特に日本は、男女の性差の概念がかなり固定化されていて、どちらにも属しがたいだけで、ちょっと浮いた存在になりがちだ。男か女かでなく、「自分は自分」という理念は、日本社会では通用しにくい。

写真家のベッティナ・ランスによる美しきトランスジェンダーの世界

しかし、世の中は広い。
ところ変われば、性の多様性が肯定的に美しく受け止められている。
フランス・パリの「ヨーロッパ写真美術館」は、ヨーロッパ随一のコレクションを有し、注目度の高い企画展を常に展開する現代写真の宝庫だ。

ここで昨年1月から3月27日まで、多くの人を惹きつける企画展が開催された。
写真家のベッティナ・ランス(Bettina Rheims)展だ。

彼女の作品群のなかで一際、観覧者を釘付けにする写真がある。
『ジェンダー・スタディーズ』と名付けられたシリーズだ。
本シリーズは2011年に制作されたもので、デザイナーとコラボして、さまざまな国のトランスジェンダーの人に、彼ら自身の魅力を引き立てる衣装を着てもらって、ポートレート撮影している。

モデルとなった人々は、男性か女性かという前に、ありのままのひとりの人間としてフィルターに収まり、それぞれに美しい。
実際に、生物学的性別(SEX)が男女どちらなのか、写真からはよくわからない人も多く、性差の固定概念が取り払われる新感覚を得られる。

ベッティナ・ランス氏は、フランスに生まれ育ち、米国ニューヨークで多感な20代を過ごした後、パリに戻って写真の道を歩んだ女流アーティストで、アバンギャルドな作風が世界的に評価されている。
女性のポートレートを得意とし、かなり初期の段階からモデルやストリッパーのヌードを手がけ、数多くの有名人を撮影した。

一方で、ある時期からトランスジェンダーに惹かれ、混迷する現代の性をモチーフにした作品を多く発表するようになった。

本質的な美を追求するアーティストが、かくも美しく表現する、ボーダーレスな性を内包する人々。
もしかしたら、「性同一性障害」を認定するという新たな枠組みそのものが、次なる固定概念を生むのかもしれない。
(文=ヘルスプレス編集部)

今日は国際女性デーです。
それにちなみ「女子だからって言わないで」のハッシュタグとともに女性たちが日頃思っている「女子だから」と無意識な思い込みによって、周囲からの差別的な言動についての鬱憤をツイートしていました。

性自認が一致していても、していなくても、性別によって決めつけられることに違和感や嫌悪感を感じている人がたくさんいるということを改めて知る機会になるのはなりますね。

男性・女性・セクシャルマイノリティ(LGBT)、全ての人がジェンダーレスに過ごせるようになるまで、そう遠くないのではないでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る