LGBT

多様な性、教科書掲載広がる 「LGBT」世界史などに

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2017年4月21日18時37分 配信
引用元:朝日新聞デジタル

2017年度から使われている高校家庭科の教科書で初登場した「LGBT」。
今回の教科書検定に合格し、18年度から使われる教科書にはさらに、高校の政治・経済、世界史、倫理、英語の計5点でLGBTなど性的少数者に関する記述が掲載された。
多様な性について考えようという動きが教科書にも広がっている。
また、社会的な性差(ジェンダー)についての記述も、複数の教科で見られた。
(沢木香織、毛利光輝、杉山麻里子)

 

清水書院は「政治・経済」の「法の下の平等」のページで、差別や偏見を解消すべき課題の一つとして、障害者やハンセン病の元患者とともに「性的少数者(LGBT)」を挙げ、用語説明を初めて載せた。
15年に米国の連邦最高裁が「同性婚を禁止する州法は違憲」とするなど、同性婚を合法化した国が約20カ国に広がったことを紹介。
同性カップルに男女の婚姻と同等の関係を認める東京都渋谷区の「パートナーシップ」証明についても記した。

同社の担当者はLGBTについて「教材に載ることで先生方も話しやすくなる。概念や言葉があることを子どもたちが知ることができると考えた」と話す。

清水書院は「倫理」でも、「家族のかたちの変化」の項目で、夫婦とその子どもからなる「核家族」のほか、「多様な家族」として「独身のまま過ごす人や、子どもをもたない夫婦、結婚せずに子どもとくらす親子、また、同性どうしでくらす人など」と記載した。

帝国書院の「世界史B」でもLGBTが初めて登場。
「歴史を学ぶ意義」という項目の中で、人類が「性的指向を人権の一つとみなす新しい視点を獲得」したと説明した。
関連コラム「ジェンダー(社会的性差)を越えて」の中で、黒人奴隷解放運動や女性参政権運動などを経て基本的人権という理念を獲得してきたとも記述。
「21世紀の今日は、『女性は女性らしく、男性は男性らしく』という考え方の見直しとともに、差別の対象であった同性愛や異性装指向など、LGBTが、国連などにおいて尊重すべき人権と考えられるようになった。近年、日本政府も差別の解消に取り組み始めた」としている。

同社の担当者は「女性の権利やユダヤ人の迫害、アパルトヘイトなど、歴史の中で人権についてしっかり考える教科書作りを大切にしてきたが、今回、世界の潮流をおさえ、LGBTの人々の人権についても歴史に位置づけるべきだと考えた」と話す。

英語でもLGBTが掲載された。
増進堂は「コミュニケーション英語Ⅱ」で、デンマーク発祥の「リビング・ライブラリー(生きている図書館)」という運動について取り上げた。
社会的少数者に属する人を「本」として貸し出す仕組みで、難民、元薬物中毒者らと並んで、「LGBTの人々」と記載された。

教育現場での認知が深まりつつある一方、今年3月に告示された小中学校の次期学習指導要領では、体育の「思春期になると、異性への関心が芽生える」という記述は残った。
思春期に学校でいじめにあう性的少数者が少なくないことなどから、当事者らが小中学校で正しい知識を教える必要性を訴えていた。

スポーツ庁によると、2月に示された指導要領の改訂案へのパブリックコメントでは、多様な性に配慮した記述を求める声と慎重な声が拮抗(きっこう)した。
担当者は「LGBTについて小中学校で教えることは、国民の理解を得るのが難しい。当事者の児童生徒には、個別に対応することで配慮していく」と話す。

「夫婦別姓」「女性活躍」記述も

ジェンダーについても「夫婦別姓」や「女性活躍」の観点から、現代社会や政治・経済、倫理、国語、英語、物理などで取り上げられた。

山川出版は「現代社会」で、夫婦別姓を認めない民法750条が憲法違反かどうかが争点となった訴訟で、最高裁が15年に合憲と判断したことを報じた新聞記事を紹介。
最高裁が選択的夫婦別姓制度にも一定の合理性を認め、国会での積極的な議論を促したことに触れた。

教育出版は「国語表現」で、夫婦別姓の是非を題材に小論文の書き方を学ぶ項目を盛り込んだ。
夫婦別姓に対して自分の意見と、想定される反論を考えながら、紙の上で1人で討論する「セルフ・ディベート」の練習方法を解説。
例として「女性の就業が増え、結婚による改姓が不便・不利益だという女性も増えてきている」という立論に対し、「同姓のほうが夫婦の一体感が増し、家族の絆が強まる」との反論なども挙げた。

清水書院は「政治・経済」で、日本の女性議員の比率が世界の中でも低く、超党派の国会議員連盟が他国のようなクオータ制の導入を検討していることをコラムで紹介した。

東京書籍は「物理」で、「女性も男性とともに、世界に羽ばたくチャンスを広げよう」と題した見開きの文章を掲載。
日本初の女性物理学者、湯浅年子氏を写真入りで紹介し、「人類の半分を占める女性がさらに物理学を学び、今以上に論理的な思考力と科学的な目を養えば、より豊かな花開く未来を構築できるだろう」と締めくくった。

同社は英語でも、日本人の著名人を取り上げる際、「男性ばかりにならないように意識している」(編集担当者)という。

光村図書出版の「美術Ⅱ」は、教科書全体を通して登場する作家の性別に偏りがないように配慮した。
4人の作家へのインタビューも男女2人ずつ均等に載せた。
同社の編集者は「美術の世界も含め、日本は男性中心に動いてきたが、もともと美術は性別に関係なく平等に触れられるもの。教科書をつくるうえで大事にしている点だ」と話す。

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