体験談

身近にLGBTの人がいたら…「言っちゃダメなこと」はある?当事者に聞いた

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2017年4月24日 11時30分 配信
引用元:exciteニュース

近年、活発に報じられている「LGBT」の話題。
言葉の意味は知っていても、細かいことはよくわからない、という人も少なくないのではないでしょうか。
例えば、LGBTだとカミングアウトしている人に“言ってはいけないこと”はあるのか。
トランスジェンダー(体と心の性別が一致しない人)の人が入社してきたとして、トイレや更衣室はどうしたらいいのか。
何が差別になり、何が配慮になるのか……判断が難しいですよね。

今、企業の多くがダイバーシティー(多様性)を推進する動きを見せています。
社会はLGBTについてどんな課題があるのか、働く女性として知っておいたほうがいいでしょう。
そこで今回は、企業向けにLGBT研修を行う株式会社Letibeeの代表取締役・榎本悠里香さんにインタビュー。
前編では、研修はどんな内容なのか、身近にLGBTの人がいたらどう接すればいいのか、トイレや更衣室はどうすべきか……などを伺いました。

LGBTが境は、周囲の“無関心”によって作られる生きづらい環

―—企業で働いているLGBTの人は、どんなことに問題を感じているのでしょうか?

榎本:
一概に「LGBTのみなさんはこういう問題を抱えています」とは言えません。
ただ、社会の側にある問題は大きく言うと、「無関心を作り出していること」だと思います。
性自認や性的指向というのは、自分をつくる様々な要素のひとつではありますが、生きていくうえでは大事なことです。
それに対して周囲の人が、全く知らない状態であったり、もともと知っている情報だけで「こういうものでしょ」と解釈していたりすることで、生きづらさを感じるLGBT当事者はいると思います。
例えば、バラエティ番組のようなノリで「オカマ」「ホモ」とギャグにしてもOKでしょ?という職場環境だと、そのノリが苦手な当事者はしんどいですよね。
もちろん、そういった空気感を徹底的に排除しましょう!というのは、逆に他の人の生きづらさにつながると思うので、バランスが必要だとは思います。
ただ「それって本当におもしろいんだっけ?」という問いを表に出せない空気感を本当に生きやすいと感じる人は少ないんじゃないかと思うんです。
そうした空気が作られる理由の一つが、“無関心”だと思っています。
自分が知らないだけで、LGBT当事者が身近にいるかもしれません。
自分の子どもがLGBTである可能性もあります。
「自分とは無関係だと思わず知っておいたほうがいいんじゃないか」と、企業や団体、メディアがLGBTについて広める活動をしていて、それに対して様々な意見がとびかうようになってきている……というのが、社会の“現在地”ではないでしょうか。弊社が行うLGBT研修も、そのうちのひとつです。

LGBTは“特別な人間”ではない

——Letibeeが行う研修はどんな内容なのでしょうか?

榎本:
弊社の研修は、トークとワークショップの二部構成になっています。
まずは「LGBTとは?」「セクシュアリティとは?」「“体の性”と“心の性”って何?」という基本的な知識をお話します。
知識だけを得ると、「今まで何気なく話してきた内容が、当事者にとって差別だったらどうしよう……」なんて不安が生まれますよね。
そこでワークショップでは、これまで当事者の方々にヒアリングしてきた意見をまとめて、「こういう質問はどう思いますか?」などを、みんなで考えます。
NGの差別ワードを並べて暗記してもらうのではなく、何気なく使っている言葉がどう伝わる可能性があるのかなどについて考えていくんです。
「LGBTという特別な人たちについて学びましょう」ではなく、「そういう視点もあり得るのか」と発見してもらうことが研修のゴールの一つです。

トイレ・更衣室の問題は、会社ごとに考えることが大事

――ここからは、「職場にLGBTの人がいたら?」という質問をしていきたいと思います。まず物理的な問題として、トランスジェンダーの人が職場にいた場合、トイレと更衣室をどうすればいいのでしょう。

榎本:
世の中に仕組みに“正解”がそもそもないので、今よりもいい、を模索していくしかないですね。
“物理的な問題”として片付けていいものなのか、そもそも問題は物理的なのか。
私は、意識の問題が大きいと思います。
会社ごとに設備もリソースも違うなかでそれぞれの解を出していかなければならないですが、「トランスジェンダーの人はトイレに入るときにストレスらしい、じゃあ専用のトイレを作ろう」という考えではなく、「なんでストレスなんだっけ」「問題はどこにあるんだっけ」という議論が当事者を含めてきちんと起こっていってほしいですね。

身近にLGBTの人が……気をつけるべきことは?

―― 職場にLGBTであることをオープンにした人が入ってきたとき、またはカミングアウトされたとき、言ってはいけないことや、気をつけるべきことはありますか。

榎本:
言う側の自由もありますので“言ってはいけないこと”はとくにないと思いますが、不快に思われるかもしれないことや、傷つく可能性があることはあると思います。
LGBTだからどうこうではなく、人間同士のコミュニケーションなのだ、と忘れないことが大事ではないでしょうか。
ただ、カミングアウトをされたときは、その人はカミングアウトに勇気を振り絞っているかもしれません。
まずは「言ってくれてありがとう」と受け入れる。
その時点ではよくわからないとしても、一緒に考えていきたいという姿勢を見せることで、安心してもらえると思います。

傷つけてしまうかも……NGな発言はある?

――例えばセクハラの問題だと、女性に「子どもはまだなの?」と訊くのはNGだ、などの認識が広まってきました。LGBTでそういったNG話題はないのでしょうか?

榎本:
なんでもNG、NGと言うのはどうかと思いますが、私がレズビアンの人からよく聞くのは、「彼氏・彼女いるの?」という質問に、同性のパートナーがいることを答えたら「同性同士でどうやってセックスしているの?」とか、「あなたは男役と女役どちらなの?」「子どもいらないの?」とすぐに性的な質問につながることですね。
トランスジェンダーの人からは「下(性器)はどうなっているの?」という質問が嫌だったと聞いたことがあります。
LGBTだからどうこうというより、コミュニケーションの問題だと思うんです。
例えば、彼氏いますと話したときに「月に何回セックスしてます?」とかいきなり訊かれたら「え?」と思う人が多いと思うんですよね。

――褒めたつもりが相手を傷つける……というケースもあるのでしょうか。トランスジェンダーの女性に「女の子よりも、女子力が高いよね」と言うとか。

榎本:
比較せず「すてきだね」と言えばいいんじゃないかなと、私は思います。
話す前に「この言葉、大丈夫かな?」と考える余裕を持つと、相手を傷つける発言は防げるのではないでしょうか。
また、発言がOKかNGかは、判断を社会の空気感に委ねるだけではなく、「私はこう考えているから、いいと思ったんだけど」と言えるようになるのがいいのかなと。
そうすれば、もし相手を傷つけてしまったとき、説明して謝れるじゃないですか。
いちいち考えるのは面倒くさいかもしれないですが、よい人間関係を築けるのであれば、決して無駄な時間ではないはず。
自分の発言や考え方をアップデートしていかないと、人間関係の見えない溝を深めていってしまうんじゃないかなと思います。
「これは言ってはいけない」というマニュアルを作ってしまうと、LGBTが腫れ物のように扱われる現状から脱却できません。
「この話はどうか?」と個別に考えることが大事だと考えています。

LGBTだとカミングアウトする理由って?

――榎本さんはレズビアンであることをオープンにされているとのことですが、LGBTの人がカミングアウトをすると決める理由には、どんなものがあるのでしょう。

榎本:
私自身は、彼氏を彼女と言い換えたりするのが面倒だったから、オープンにしました。
事例としては、パートナーと生きていくにあたって、既婚女性は家事を理由に男性に比べると帰宅しやすいですが、男性だと「えっ?」という雰囲気になりかねない現実が今の日本社会にはあり、パートナーとの生活に支障が出るからカミングアウトした、というケースをゲイの人から聞いたことがあります。

——「ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルは恋愛の問題なんだから、職場などでわざわざ言わなくてもいいのでは?」という意見を聞いたことがあります。カミングアウトされるのは迷惑だ、という声も。

榎本:
もちろんそういった意見もあって然るべきだと思います、「ベッドの中の話でしょ」とか「職場では関係ない」とか。
でも仕事も人間関係なのだから、生きていく上で、仕事をする上で、生き方の根底に関わる価値観を知っておいてもらったほうがスムーズだからオープンにしておきたい、カミングアウトしたいと思うのは、決しておかしなことではないと思います。

当事者に限らず、人間関係において「言葉」によって繋がったり傷ついたりします。

話をする際には一度「これ言って大丈夫だよね」と考えてお話をしてはいかがでしょうか。

それだけでも救われる人たちも多くいると私は思います。

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