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100人中8人が性的少数者という現実から誕生した”本邦初LGBTファッション”

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2017年5月8日 12時30分 配信
引用元:小出宗昭 | 富士市産業支援センターf-Biz センター長(Yahoo!ニュース)

私がセンター長を務める静岡県富士市の中小企業支援施設「富士市産業支援センターf-Biz」開設から9年がたった。
相談件数は年々増えており、昨年度は1日約17件、年間では4389件もの相談にあたっている。
当然、多種多様な分野から様々な案件が舞い込んでくる。
そうしたなか、本邦初ともいえるLGBT(性的少数者)向け衣料品を輸入販売する「M&Yインタートレード社(静岡県富士市)」がいま注目を集めている。
16年7月にスタートした同社。
立ち上げたのは、安藤嘉晃(よしあき)さんと、タイ出身の萌唯(めい)さんご夫妻。
じつは二人は、最初からこの商品を取り扱うことを考えていたわけではなかった。

●起業のきっかけは「二人の時間を増やしたい」

商社マンだった嘉晃さんがタイに赴任した際に知り合い結婚した二人は、「結婚後は二人でいる時間を増やしたい」ということで、会社を辞め、嘉晃さんの地元である富士市で起業することを決意。
私が二人とお会いしたのは15年秋のこと、元商社勤務の経験を活かし、日本とタイの架け橋となるような貿易を始めたいということで相談を受けたのが最初である。

一見にも、とても仲が良く、二人の周りだけが穏やかな空気につつまれ、ゆるやかに時間が流れているかのような、何か独特の世界観が醸し出されているのが印象的だった。
このときは、趣味の雑貨を扱いたいということで話を伺っていた。
シャム猫の原産国でもあるタイはネコに関する雑貨が充実しているらしく、昨今の日本の猫ブームにあわせ、ペット用品を日本に輸入したいという。
日本からは、オタク文化の街アキバからフィギュアを輸出したいということだった。
正直、二人のポテンシャルの高さや醸し出す世界観からすると、平凡にも思える路線であり、すこしもったいない印象が残った。
しかし、とにかく、二人で仲良くのんびり暮らしていきたいというのが大前提というわけで、その方向で伺っていた。

●ブレイクスルーのポイントはキーワードからの連想

そのじつ、「タイ」というキーワードから、ある映像が私の脳裏には浮かんでいた。
以前、タレントのはるな愛さんがニューハーフの美人コンテストで優勝したこともあったが、タイにはLGBT(性的少数者)の先進国というイメージがあった。
ちなみにLGBTとは、Lesbian(レズビアン:女性同性愛者)、Gay(ゲイ:男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル:両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー:生物学的な性別と違う性別で生きたい人)の頭文字からきている。
当時はまた、渋谷区で全国初となる、同性カップルに対する「結婚に相当する関係」が条例案で提出されて話題にもなっていたため、余計そのことが浮かんできたのだろう。
思い切ってその辺の実情をすこし聞いてみることにした。

すると、「タイの学校にはトイレが3つあるケースもある」「一般的にはLGBTの4タイプだが、タイには18の性別が存在する」「性的少数者への偏見や差別があまりないため、生活にも支障がない」「男装、女装で昼間の仕事をしている人も多い」ということ、さらに、タイの百貨店にはLGBT向けの衣料品売り場もあることがわかった。
たとえば、男性として暮らしている(身体的に)女性なら、胸を目立たないようにするためのサラシが内側についたシャツ。
逆ケースの場合なら、股間部が目立たない工夫の施されたショーツなど、それぞれのニーズにあわせた衣料品が一般用と並んで普通に売られているのだそうだ。
日本とは事情が大きく違っていたのである。

後日あらためて調べたところ様々な機関の調査資料で、日本人の8%がLGBTであることがわかった。
100人に8人だから、クラスに2、3名は在籍しているというイメージ、つまり、けっして少なくない数字だ。
にもかかわらず、その人達の思いを汲んだ衣料品の取り扱いをしているところが見当たらないのはなぜか?
困ってはいても、そういうものだとあきらめて暮らしているのではなかろうか?
これこそ、タイで暮らしていた二人だからこそできる、両国の懸け橋となるビジネスになるのではないか。
二人にとってはまったく想定外の案件だったと思うが、話を進めていくうちに、どんどん関心が高まっていくのがわかった。

●使命がマインドを変える

とはいえ、仕事一辺倒でガンガン働くより、二人でいる時間を増やしたいという思いでやってきた二人である。
はたして、本邦初の試みとも言えるその挑戦に立ち向かっていけるのだろうか?
そう思われる人もいるかもしれない。
ご心配なく。
おだやかでゆるやかな雰囲気はそのままだが、マスコミ取材をはじめ、今年代々木公園で開催されたLGBTの祭典「東京レインボープライド」へ出店するなど、精力的な活動を展開し続けている。
もちろん、いつも二人一緒だ。

性が男装する際、男性が女装する際に重宝するというので、秋葉原といったコスプレ洋品販売店では需要がとくに多いらしく、販売先も順調に伸びているようだ。
時には飛び込み営業もしているという報告を受けたときは、まさか、そこまでしていたことは、と、私もすこし驚いた。
しかしこれは、大きな使命に気付いたことでモチベーションが上がり、マインドが変わったのである。
こうした変容に立ち会えることも、企業支援家冥利に尽きると言える。
「日本でのさきがけとしてチャレンジしていきたい」そう語る二人。
日本の百貨店にもLGBT衣料ブースができるであろうことはもちろん、二人の当初の夢でもあった両国の懸け橋として、そう遠くない将来、日本に一大ムーブメントが巻き起こる予感を覚えながら、エフビズでは今後も鋭意支援を続けていく所存だ。

●情報

Secant Japan(LGBT先進国のタイで生まれたオナベ・FTX・FTM向け衣料品メーカーSecantの日本唯一の正規代理店)
M&Yインタートレード株式会社

お二人のなれそめもとても素晴らしいものですが、「使命がマインドを変える」という言葉にとても共感できました。

このサイトを立ち上げたキッカケも同じなので、ぜひ頑張ってほしいです。

タイはLGBT・セクシュアルマイノリティの先進国ということもあり、とても対応が進んでいますね。

2020年までに進めるべきことも多いと思うので、タイを参考にするといいのではいいのではないでしょうか。

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