LGBT

受け入れ過程でのアウティングの存在 LGBTフレンドリー企業元社員の視点から

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カミングアウトという言葉の意味は、今や大体の人が理解していることだと思う。
その意味は「これまで公にしていなかった自らの出生や病状、性的指向等を表明することWikipediaより)」を指す。

そしてアウティングという言葉を聞いて分かる人は、ほぼ当事者に限定されるだろう。

そもそも「アウティング」とは、

ゲイやレズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT)などに対して、
本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向や性自認等の秘密を暴露する行動のこと。
Wikipediaより)

簡単に言えば、「人の秘密を勝手にバラす行為」ということになる。
これは誰しもが嫌だと思う行為だろう。

今回は非当事者への「カミングアウト」「アウティング」に関するインタビューだ。
協力者はLGBTフレンドリーな企業で働いていた経験のある非当事者の方。(年齢・性別非公開)

 


 

当事者から直接カミングアウトをされたことはありますか

正直ない。
会社でLGBTを受け入れたから、それによって会社にLGBT当事者がカミングアウトをして入社してきたりとかはあった。
理解しようとしたけど、最初は正直どう接していいか悩んだ

 

その時どう対処しましたか(この場合は社内のLGBT)

男とか女とか余計なことを考えずに、仕事として、人として接しようと思った
これは実際に上手くいってた。例えばMTFの方が社内にいたけど、女の子だなと思ったし、仕事では人として接してたし、ざっくばらんによく自分のことを話してくれたから、こっちとしても受け入れやすかったってのがあったし。
Xジェンダーの子も社内にいたけど、その子に関しても男とか女とか考えずに仕事として接せれた。

その考えに至れるまでの葛藤とかはなくて、シンプルに一緒に仕事する仲間というイメージで接してた。
否定的な考えとかは特に浮かばなかった。

 

もし今誰かからカミングアウトされたらどうしますか

その人のことを知ろうとすると思う。
これまでの経験とかを聞いて、「自分にできることがないか」考えると思う。
話を聞くくらいしかできないけど。

 

告白という形でカミングアウトされたらどうしますか

同性愛者だった場合、「ありがとう、でも対象が違うからごめんなさい」と応えると思う。
トランスジェンダーの方とかだったら……嫌だとは思わない。でも考えてしまう。人としてどう付き合っていいか分からないから。
カミングアウト自体もすぐに受け入れることは無理かもしれない
今まで「男が女を好きになる(性的指向)」「女が男を好きになる」「男は男(性自認)」「女は女」っていう考え方を普通だと思って生きてきて、「それ以外はない」と思ってたから。

 

「人としてどう付き合っていいか分からない」とは

男に対する接し方、女に対する接し方が自分の中で違ったから(男性には厳しく、女性には優しく)、中間とかが分からない。
だから、どっちで接したらいいのか分からなくなる。それがMTFやFTMであっても。
今はもう男か女かで接し方を変えたりはしていない。仕事では仕事仲間として接するし。

 

これまでにアウティング(言いふらし)をしたことはありますか

ある。
個人は特定されないような言い方で。その人にカミングアウトはされてないけど、人づてに聞いた。
それで「会社内の誰かがこうなんだけど(相手のセクシュアリティが分かるような言い方)、どう接すればいいのかな」というのを同じ会社内で相談してた

 

これまで人づてに誰かのセクシュアリティを聞いたことはありますか

会社内で「この人ゲイなんだよね」や「Xジェンダーなんだよね」というのを聞いたことある。
「そうだったんだ!」って思った。

 

そのセクシュアリティを誰かに噂などとして誰かに言ったことはありますか

ある。
仕事をしていく上で「他の人も知っておかなきゃいけないだろう」と思って、同じ部署内の人に話したりした
本人が公言してなかったことだった。
そのあと直接本人に聞いたりもした。又聞きって感じが嫌だったので、「本人の口から聞かないと」って思って。
「本人が嫌がるかも」とかは思わなかった

 

インタビュー実施日:2016年10月8日(土)


 

以上がLGBTフレンドリー企業で働いた経験のある非当事者へのインタビューである。

受け答えの内容から、協力者はLGBTを含むセクシュアルマイノリティ当事者に対して、本人なりの配慮や、接し方を変えるなどの対処を行なっていたことが分かる。
そしてその中で自分がずっと当たり前だと思ってきた男女像以外の人がいることに驚き、接し方などの面で悩んでいたことも分かった。

協力者が働いていた企業は社内でLGBTセミナーなども開催し、非当事者の社員に理解を深めてもらう取り組みも行なっていたが、「世の中にはこういうセクシュアリティの人がいる」という説明だけでは、急に考え方は変えられないのかもしれない。

このように「今まで当たり前だと思ってきたことと違う」ことで悩んだり、どうしたらいいか分からなくなる非当事者は多いだろう。
それにより「どうしたらいいか」を他人に相談することによってアウティングが発生し、問題となってしまうケースは少なくないように思う。

このような受け入れる過程でのアウティングに関する問題は、企業だけに限った話ではない。
この先、どうカミングアウトを個人として受け入れるのか、非当事者がLGBTを含むセクシュアルマイノリティの当事者についてもっとよく知れるきっかけをつくるのかが問題解決の鍵となるかもしれない。