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LGBTや障害のある人びとが”うんこ”についても明るく語るEテレ番組「B面談義」

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2017年9月13日 8時00分 配信
引用元:Yahoo!ニュース

千原ジュニアが「自分がいちばん薄い」と言った出演者たち

6月にNHK Eテレで放送された「B面談義」がひそかに話題になっていた。
ハートネットTV」という福祉番組の枠で単発で放送されたのだが、普段の福祉番組とずいぶん趣が異なる。

ざっと説明すると、千原ジュニアをMCに、数名のコメンテイターが集まり、ちまたで話題になっていることについてコメントしあう番組だ。
それだけ聞くと、民放でもよくあるありふれた番組に思える。

だが集まったコメンテイターが”普通”とはちがっていた。
全盲の弁護士・大胡田誠氏、同性愛を公言する弁護士・南和行氏、脳性まひで車いすの医師であり東大准教授・熊谷晋一郎氏、同性婚が話題になりそれが破局してさらに話題になったタレント・一ノ瀬文香氏。
さらに発達障害で元看護師・元風俗嬢の漫画家・沖田×華氏に至っては、千原ジュニアが「NHK出ていいんか」と思わず叫んだ。

番組アシスタントにはオネエならぬ”オニイ”アイドルのSECRET GUYZ
女性として生まれ、今は男性として活躍する3人が進行を盛り上げる。

そして番組のナレーション担当は、最近ゲイをカミングアウトした声優の三ツ矢雄二氏で、極め付けにソースのように濃い味付け。
そんな、千原ジュニアをして「自分がいちばん薄い」と言わしめたLGBTや障害者と呼ばれるメンバーが、世間で話題になっているネタについて意見を言い合うのが「B面談義」だ。

 

居酒屋でビールを飲み過ぎ”手話”でギャグを言う人びと

6月の放送でまず取り上げたのは「値上げ」。
ビールやバター、公共料金などの値上げが続くことについてだ。
これを番組では耳の聞こえない人が集まる「手話居酒屋」で取材する。

値上げをどう思うかについて聞くと、お客さんたちが手話で答えるのだ。
居酒屋なので、中にはけっこう酔っ払っていい気分の人もいる。
真っ赤な顔で質問に対しオヤジギャグっぽいことを手話で話す人もいて、ちっとも面白くない。
面白くないのだけど、耳の聞こえないも酔っ払って面白くないギャグとか言うんだ、ということが逆に面白かった。

取材映像を受けてスタジオで値上げについて話に花が咲いた。
ゲイの弁護士・南氏が宅配便の値上げがいかに困るかを切々と語る。
ゲイにはゲイのためのアダルトビデオがあり、普通に買うのは恥ずかしいので通信販売は本当に助かるのだそうだ。
その宅配料金が値上げになるのは非常に痛いのだと言う。
ゲイの人のそういう悩みを赤裸々に聞くのは初めてで感心したが、アダルトビデオを買うのは自分だって恥ずかしいよ、とツッコミを入れたくもなった。

そんな話題の中、ゲイの悩みについてナレーションの三ツ矢氏も語り出す。
最近オネエブームで、カミングアウトして以来、三ツ矢氏もそういう番組に呼ばれるそうだ。
もういい年なのでどっちでもいいけれども、自分はオネエではないのでゲイと呼んでほしいんだけどなあ、と素朴な気持ちを語ってくれて新鮮だった。

全てのゲイが女装するわけではないし、オネエでもない
今度そういう番組を見たら、その区別なくやってるのは乱暴な番組なんだと思うだろう。

うんこについてのひりひりした感覚を告白

そして番組は最近の「うんこ漢字ドリル」ブームを受けて”うんこ”に話題が移っていくとますます盛り上がる。
脳性まひの東大准教授・熊谷氏が「うんこと私の歴史は長いんです」とすっとんきょうなイントロでうんこについて語り出す。

子どもの頃に車いす生活をしているとどうしても”おもらし”をすることがある。
そんな時は親が飛んできてリカバーする。
だから”うんこ”は自分にとってひりひりする話題だ。
そこにはユーモアにすっ飛ばす可能性と、悲しい話になる怖さがある。
もし子どもの頃に「うんこ漢字ドリル」が流行っていたら、ひりひりする“うんこ“の話を思い切り笑い飛ばせた可能性と、もっと傷ついていた可能性と両方ある。
熊谷氏はそんな話をしていた。
”うんこ”についてそんなことを考えたことはなかったので、とにかく新鮮な印象だった。

ふだん接点がないひとたちと、ごく普通の話題を交わす意義

番組を通して感じたのは、コメンテイターたちのいままで知らなかった生活感覚だ。
障害のある人びとがいかに大変かとか、LGBTの人びとが不当に差別を受けるとか、そんな話は最近メディアで取り上げられるようになった。
だが、値上げをどう思うか、さらには”うんこ”との関係なんて、考えたこともない。
そんな話題を、ごく普通の世間話をするように一緒に語りあったような感覚。
それが「B面談義」の面白さかもしれない。

こんな新鮮な番組を作ったのはどんな人なのかと、取材をお願いしたら出てきたのは二人のさわやかな女性たちだった。
左が「ハートネットTV」全体の統括プロデューサー・熊田佳代子氏、右が「B面談義」を企画した金丸千枝美氏だ。
NHKには「文化・福祉番組部」という部署があり、お二人ともその中の福祉班に所属している。
「福祉班」なんて部署があるのは、NHKだけではないか。これぞ公共放送だ。

ハートネットTVはNHKがEテレで放送する福祉番組の枠で、2012年から続いている。
月曜から木曜の20時から、様々なシリーズを週ごとに展開したり、単発で放送したりしてきた。
B面談義」もそのハートネットTVのひとつとして生まれた番組だ。

NHKでは多様な番組について調査を行っている。
ハートネットTVでも福祉番組について意見を聞いたところ、やはり「興味はあるがとっつきにくい」「ふだん接点がない」といった回答が多かったという。
去年「あさイチ」から福祉班に異動になった金丸氏は、その調査結果を見て「ではどうしたらその壁を壊せるだろう、接点を作れるだろう」と考えた。
その結果が「B面談義」なのだそうだ。

そう言われてみると、私も「とっつきにくい」と感じていた一人かもしれない。
確かに最近、「LGBT」という言葉も流通しているし、障害者の問題も含めて取り上げるメディアや記事は多い。
だがそこにはどこか「差別はいけません、特別視するのは人権侵害です」という教科書的な臭いがして、逆に遠ざけてしまうところがないだろうか。
嫌味な言い方をすると、「意識高い系」な空気のメディアが「私たちは進んだメディアです」と言いたいがために殊更にこうした記事を載せている、ように見えてしまう。
「差別がどんなにいけないことか」を強調されても、理屈としてはみんなそんなことわかっているわけだし。

そんなことより、「話す」こと「知る」ことが大事じゃないか。
B面談義」が私たちに提示するのは、そんな素朴な感覚だ。
差別をなくすかどうかの前に、私たちはゲイの人が何を日ごろ感じていて、脳性まひの人がふだん何で困るかを知らない。
私たちが友人と世間話をするように、ゲイの人と、車いすの人と、世間話をすることでそれがわかってくる。
へー、知らなかった。そんな新鮮さを感じる。
そうやって「知る」ことが「わかりあう」ことにつながるのではないか。

そしてどうやら、そんなことがパッと出演者を呼んでできるのは、福祉班がハートネットTVで常日ごろから障害者やLGBTの人びとと触れ合っているからのようだ。
そういう下地もなしにふだんバラエティを制作する人びとが番組にすると、目も当てられないことになりそうだ。
そんな福祉班としての自負心も、お二人の話を聞いて感じた。

福祉の世界に新鮮な風を吹かせた「B面談義」は、6月の放送が視聴率もよく好評で、二回目が本日9月13日(水)20時から放送される。
それを知って私もあわててこの記事を書いている。
この記事を読んで興味を持ってくれた方はぜひ、見てみてほしい。
とくに「高い意識」は必要ないし、ふだんからの関心なんかなくてもいい。
だが先入観なしに見てもらえれば、シンプルに「へー!」と感じると思う。
その意外な新鮮さは、見る価値がきっとあるはずだ。

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