LGBT

LGBTのためにパートナーシップ制度より進めるべきこと

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2017年10月17日 8時30分 配信
引用元:Forbes JAPAN

LGBTに関する複数の調査から、日本のLGBT当事者の比率は7~8%と言われている。
これは、左利きやAB型の割合と同じである。

LGBTを取り巻く環境は、少しずつではあるが変わりつつある。
東京都渋谷区では2015年3月、「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」が議会で可決された。
この条例によって渋谷区は、同性カップルに対してパートナーシップ証明書を交付することが可能となった。

突然条例ができたことに驚いた」と振り返るのは、2016年9月から渋谷区役所の男女平等・ダイバーシティ推進担当課長として、LGBTの対応に取り組む永田龍太郎だ。

差別NGの民間企業でカミングアウト

永田は東京大学を卒業後、東急エージェンシー、ルイ・ヴィトンを経てGapの広報PRに転職。
在職中に自身がゲイであることをカミングアウトした。
社内には他にもゲイであることをオープンにしている人がいて、周りの人もそれに対して自然に接している環境だった。

Gapには「ゼロ・ミーンズ・ゼロ」という、一切の差別を禁止する方針がある。
国籍、人種、肌の色、年齢、性別や性別認識、性的志向、宗教、妊娠の有無、障がい、学歴など、どんな差別も許されないという厳しいルールだ。

ハラスメントが発覚した時点で、基本的にはクビとなる。
また、社員全員の権利として、直属の上司からハラスメントを受けた場合は、そのさらに一つ上の上司に対して面談を申し込むことができる。
ハラスメントに対して「ノー」と言える厳格な体制が整えられているのだ。

カミングアウト後、永田の元には友人経由で「GapにLGBTを支援してほしい」という相談がいくつも寄せられた。
当時の部門長に伝えると、「Gapはお客様と従業員に対して公平性をもって接するカルチャーだが、日本ではそれが全くと言っていいほど知られていない。LGBTの取り組みは、ブランドを好きになってもらうきっかけになるかもしれない」と賛同を得られた。
その後、勉強会を立ち上げ、LGBTのイベントにも協賛した。

渋谷区役所からのオファー

Gap在職中、渋谷区長とつながりのある知人から渋谷区の仕事のオファーがあった。
渋谷区は2015年11月からパートナーシップ証明書の交付を始めており、当事者への直接的な支援をはじめ、役所内、区民、企業に対する啓蒙・啓発が必要な段階に移っていた。
そこで、LGBT当事者のことが分かり、かつコミュニケーションのプロであるという点から、永田に白羽の矢が立ったのだ。

永田自身は「LGBT人権活動家」ではなかったため、深く悩んだが、考えた末、引き受けた。

今までLGBTの人たちは透明人間だった」と永田は言う。
LGBTの人は存在しないものとして扱われていたため、行政のさまざまな窓口がLGBTに対応できていない、という意味だ。

例えば、『女性・子育て課』という名前の部署でDVの相談を受け付ける場合、基本的には“異性愛の女性”が来ることを前提としている。
それでは、男性のDV被害者、ゲイやレズビアンの同性カップルはなかなか相談ができない。

LGBTというとパートナーシップ制度が注目されがちだが、その受益者の数は限られている。
つまり、注力すべきはそこだけではない。

行政がお金をかけて何か新しいことをやるよりも既存の福祉サービス、セーフティネットが、ジェンダーやセクシュアリティの隔てなく対応できる体制になるほうが受益者は多い。しかも、追加のお金を一銭もかけずにできることです」と永田は言う。

進む民間企業のLGBT対応

民間へ目を向けると、LGBTへの対応が進む企業は増えてきている。
パートナーシップ証明書があれば、保険金の受け取り、携帯電話の家族割、航空会社の家族間のマイレージ共有なども可能となることもある。

永田はこう見る。
先進的な企業の活動は日本でLGBTの認知を広げるうえでの助けになったと思います。しかも、彼らは商品・サービスをLGBTに対応させることを通じて、従業員の福利厚生や人事制度でも取り組みを深化させました。それが今の日本に起こっているムーブメントをすごく後押ししてくれていると思います

かつて、松下幸之助は「企業は社会の公器である」と述べた。
企業、そして、そこに属する個々人が公器としての自覚を持ち、LGBT当事者に向き合うときが来ているのではないだろうか。
彼らは決して透明人間ではないはずだ。

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