LGBT

「防災ガイドブック」性的少数者を支援 避難所にも多様性視点

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2017年10月31日 地方版 配信
引用元:毎日新聞

性的少数者を支援する「性と人権ネットワークESTO」(エスト、本部・秋田県)が、当事者や自治体向けに災害時の対応策をまとめた「多様な性を生きる人のための防災ガイドブック」を作製した。
当事者に災害への備えを啓発したり、自治体に理解を深めてもらったりすることが狙いで、東日本大震災で被災した当事者らの声を反映させた。
理事の内田有美さん(32)は「防災にも多様性の視点を生かし、誰もが生きられる社会になってほしい」と話す。

【真田祐里】

 

支援団体、当事者の声聞き作製

ホルモン剤が手に入らなくて困った
性的なことを知られたくないので避難所に行こうとも思わなかった」。
震災後、内田さんは性的少数者の友人からこう打ち明けられた。
生きるか死ぬかという時に命が守れない」と危機感を抱いた内田さんは、当事者の震災時の状況やニーズの調査を一人で始めた。

調査は2012年1月から約1年に及んだ。
被災3県に加え、関東などで帰宅困難に遭った当事者ら約80人を対象にアンケートを実施。
また、避難所の状況について、実際に避難した当事者や運営に当たった自治体職員約15人から聞き取りしたところ、「男女別のトイレしかなくて使えない」といった日常的にある問題が避難所では一層深刻だったことが分かった。
社会に問題提起しようと、エストの仲間とガイドブックの作製に乗り出した。

ガイドブックは全10項目で構成。
当事者向けに、非常時の持ち出し用品チェックリストや相談先になる団体一覧を掲載。
ホルモン剤が入手できない時に生理が起こることもあるので、生理用品を用意」といった注意点も記載した。
自治体に向けては「公衆浴場は男女で分けられていて使えず、ウエットティッシュで体を拭いてしのいだ」「支援物資が男女別でなくサイズで分けられていたので取りやすかった」といった当事者の声を紹介し、避難所運営に役立つ情報を掲載した。

ろうLGBT東北」代表の及川政伸さん(36)は「LGBTの中でも聴覚障害者はマイノリティー。カミングアウトできない人もおり、非常時に筆談をするのは難しい。ガイドブック作製を機に、日ごろから多様な性への防災を考えてもらえたら」と願う。

ガイドブックはA5判、28ページ。
クラウドファンディングで資金を集め、1,500部作った。
現在は県内の自治体や男女共同参画推進センターなどで無料配布している。
今後はカンパを募り、改訂や増刷をして全国に広めていく予定。
問い合わせはメール(miyagi-esto@estonet.info)で。

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