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LGBT差別をなくすため「ミュージカル」を立ち上げた30人の男たち――女装小説家・仙田学

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2017年12月6日 15時51分 配信
引用元:日刊SPA!(Yahoo!ニュース)

女装姿の男性30人が集まって、ミュージカル劇団を立ち上げた。
その名も「女装子歌劇団」。
1月6日からは第1回目の公演が行われる。

劇団員はどんなメンバーがいるの?公演の内容は?
日刊SPA!」で女装男子の連載をしている僕にとって、この劇団への興味は尽きない。

そこで、「女装子歌劇団」リーダーの、くりこさんにお話を伺うことにした。

 

きっかけは友人のひと言だった

くりこさんは、新宿二丁目の女装サロンバー「女の子クラブ」のママでもあり、この連載で以前にもインタビューをしたことがある。

『女装子歌劇団』」のプロジェクトが動きだしたのは、2016年の暮れでした。
友人の女優、マーガレット・イゴールルームさんのひと言が始まりだったんですよ。
前にセクシャルマイノリティの人たちを集めて芝居をしたら、すごくウケたことがある』って。
楽しかったからまたやりたい』って。

意気投合した2人はメンバーを探すことに。
マーガレットさんも、唯一の「女優」として女装子歌劇団に加わることになった。
当時の苦労をくりこさんはこう振り返る。

友達や知り合いに、声をかけ続けました。
いつの間にか30人もメンバーが集まっていて。
私は成り行き上、リーダーになりました。
『女の子クラブ』のスタッフやお客さんたちだけじゃなくて、劇団員たちのまとめ役も兼任するようになってから、強く思うようになりました。
LGBTに限らず、すべての少数者が生きやすい社会を作りたいって。

いつしか、くりこさんの中で女装子歌劇団の理念は定まっていった。
その意味で、公演を観てほしいのは、まずLGBTに限らず自分は少数者であると思っている人々
つまり、生きづらさを抱えているすべての人という。

20~30代の女性たちにも観てほしいです。
J-Popのヒット曲が大好き、でもテレビにもネットもつまんない。
何か面白いことはないかなって探している女性たちは、面白がってくれると思います。

そして、芝居を観終わった後には、想像もしていなかった世界が広がっている。
そんな経験をしてもらえればというのが、くりこさんの願いだ。

芝居とかミュージカルっていうより、音楽と芝居が完全融合したエンターテインメントを目指しています。
芝居は演目を見せるものじゃないですか。
でも、女装子歌劇団が見せたいのは『』。
ライブに行く人がバンドメンバーに会えるのを楽しみにするみたいに、演目以上にメンバーたちに興味を持ってもらいたいんですよね。

女装メンバーには公務員や医者なども

実際に、脚本、演出を始め携わっているスタッフは音楽業界の人ばかりだという。
特にこの歌劇団をバックアップしているナラドエンタテインメントの社長でありプロデューサーの新田一郎氏は’70年代に活躍した伝説のバンド「スペクトラム」のリーダーであり、爆風スランプ嘉門達夫などをブレイクさせたことで有名な方で、稽古ではかなり高いレベルを要求される。

くりこさんを含めてほとんどのメンバーは演技の経験がないため、稽古についていくのは大変らしい。

プロデューサーからは、『女装子』を演じるんじゃなくて、『素のままの自分を出せ』って言われています。
これが、意識すると難しくて……。
他のメンバーも苦労してるけど、みんなすごく前向きなので助かってます。

稽古は夜間に行われる。
他のメンバーのほとんどが、昼間に仕事をしているからだ。
しかも公務員や医師など、女装趣味を口外しづらい職種に就いている。

なかには職場でバレてイジメにあったり、家族にカミングアウトをしたことで離婚に至ったり、身近な差別や偏見にさらされている人も。

圧倒的なエンタメ集団を目指す

劇団員のみんなを幸せにしてあげたい

女装子歌劇団のリーダーとして、公私ともにメンバーと関わるうちに、くりこさんはそんな願いを強く持つようになったという。

そのために必要なのは、女装子歌劇団がひとつのブランドになることです。
少数者の価値観が多くの人に理解されるには時間がかかります。
時間をかけても理解されないことも多いですし。
でも、有名になって、多くの人に認知されさえすれば……。

人は、理解できないものでも受け容れることがありますから。
音楽やってる方が紅白を目指すのもそうかもしれません。
世間に認められたいっていうより、世間に認められることで、家族や親戚や友達の見る目を変えたいんじゃないかな。

女装子歌劇団が圧倒的なエンタメ集団としてのブランドを築こうとしているのは、あらゆる少数者への差別や偏見を世の中からなくすためなのだ。

目標は「2年後の日本武道館」

まずは2018年1月6~14日に、新宿シアターモリエールにて、全14回、延べ2500人を動員する公演を行う。
演目は、古典落語「死神」を脚色したオリジナルミュージカル
歌あり、笑いあり涙ありのエンターティンメントだ。
2年後には日本武道館での公演を目指している。

劇団やメンバーたちの知名度が上がれば、見ている人たちも勇気づけられるはず」と、くりこさんは言う。
たとえば、児童養護施設にも、セクシャリティに違和感を抱えている子供たちは数多くいるとされている。

そんな子供たちは、ものすごく不自由な思いをしていると思います。
お風呂やお手洗い1つとっても、したいことができなかったり、やりたいことと真逆なことをして罪悪感に苦しんだり。

そんなコたちのことも幸せにしてあげたいんですよね。
第1回の公演が終わったら、できれば何人かのメンバーと施設をまわって、職員と子供たち向けのジェンダー講座をやりたいと思っています。

あらゆる少数者への差別や偏見をなくしたいという、強い思いから、くりこさんは女装子歌劇団を旗揚げした。
その思いは、抽象的で観念的な理念ではない。

目の前の困っている人、弱い人を幸せにしたいという、どこまでも具体的な願いなのだ。

その強い願いは、いったいどこからくるのだろう?
僕はくりこさんの子ども時代に興味を惹かれた(次回記事は近日公開予定)。

<文/仙田学>

【仙田学】
京都府生まれ。都内在住。
2002年、「早稲田文学新人賞」を受賞して作家デビュー。
著書に『盗まれた遺書』(河出書房新社)、『ツルツルちゃん』(NMG文庫、オークラ出版)、出演映画に『鬼畜大宴会』(1997年)がある。

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