LGBT

差別の根源は教育?KABA.ちゃん×松中権の「LGBT対談」

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2018年1月1日 23時00分 配信
引用元:COSMOPOLITAN(Yahoo!ニュース)

今春に、性別適合手術を受けて心身ともに女性となった経緯を赤裸々に話してくれた、タレントで振付師のKABA.ちゃん。
そのKABA.ちゃんがLGBTに関するフィールドで活躍する人と繰り広げる、本音トークの第一弾!
今回は、LGBTのカミングアウト・フォト・プロジェクト「OUT IN JAPAN」などを主催する、認定NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」の代表、松中権さんをお迎えしました。
二人が考える、自分らしく生きられる社会とは…?

保毛尾田保毛男の復活登場に関して、どう感じましたか?

KABA.ちゃん:
実はあの一件で、LGBTっていう枠が苦手になってきちゃったんです。
私、小さいころからオカマだっていじめられたり、陰口をたたかれたりしていて。
みなさんのおかげです」が放送されていた当時は学生だったんだけど、保毛尾田保毛男のキャラクターの「あくまでも噂で…」っていう切り返しに、なるほど、こうやってかわす方法もあるんだって良い方に捉えてたんですよ。
だから今回、当事者の人たちが抗議したのを知ったときに、すごくショックだったの。
そうやって受け取る人もいるんだって。

松中さん:
僕、実はその抗議の取りまとめ役だったんですよ。
僕自身、小さいころから男の子が好きだったから、自分は女の子なのかもって思い込んでいたんです。
本当はゴン美とかゴン代なのかな…とか(笑)。
そこに、中学生のとき保毛尾田保毛男が登場して、男として男が好きという設定だったので、「この人だ、僕」って。
それでモヤモヤが解けて、彼に救われた部分もありました。

でもその2週間後ぐらいから、保毛尾田保毛男ネタでいじめられる子も出てきて。
ホモって何だ…と辞書を引いてみたら、その頃は「ホモ=同性愛。同性愛者。異常性愛。性倒錯」って書いてあったんです。
異常」って言う2文字にガーンとなって、そこからガラガラガラッとグレーの世界に入っちゃって。
でも現実では明るい次男坊を演じていました。

僕自身はひどいイジメを受けた経験もなかったこともあり、今回あの復活を見た瞬間は、「あちゃー、出てきちゃった」という感じだったんですよ。
一方で、あのキャラはある意味LGBTを笑いにする象徴で、それでいじめられたとかトラウマだっていう人がたくさんいるのも知ってて。
ネット上のあちこちで抗議したいっていう声が出始めたので、これはきちんと取りまとめて、「世の中にこう思われてますよ」ってフジテレビに届けなきゃって。
それと、このことがみんなの考えるきっかけになったらいいなって思ったんです。

KABA.ちゃん:
でも、それをやったことで解決になるの?
守ることも必要だけど、それだけじゃなくて、もっと当事者が自分自身で強くなれる方法などへ導いてあげるのも大切だと思う。
私は性別適合手術を受けて戸籍も変えて、女性になったことをオープンにしたけど、メディアはLGBTを受け入れている割に、「コンプライアンス的な問題もあって、ちょっとどうやって扱っていいかわかんない」と差別的な対応だったりで…。
もう、コンプライアンスって何よ!どこの誰が言ってるのよ!?(笑)
そうやって抗議をされちゃうと、余計にどう扱っていいか分かんないって思われちゃう。
私としては、以前と同じように扱ってくれていいんだけど、そうすると何か言われるんじゃないかって思ってるんでしょうね。
そこをどう開拓していけばいいかなって、今奮闘しているところです。

松中さん:
今は過渡期なんだと思うんです。
今まではLGBTの存在もあまり見えていなかったし、差別的だと気づかず作られてきた笑いの構造もあって。
発信する側も、それはよくないよねって思っている一方で、面白いものは作りたい。
そんな狭間で、制作者はみんなにちょうどいいスイートスポットを探しているんだと思います。

松中さんは今までもこういった活動をしてきたんですか?

松中さん:
僕が、認定NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」をやろうって言ったのは、そもそも僕も「我らに権利を!」っていうのが得意じゃなかったから。
カフェを作ってみんなで遊ぼうとか、レスリー・キーにかっこよく写真を撮ってもらおうとか、もっとポジティブなもので人が集まってきて、ムーブメントができるといいなと思って、ずっとやってきたんです。
ところが、去年の夏に、それだけじゃダメだって思わされる出来事があって。

一昨年の春、一橋大学法科大学院の学生が、友人にゲイだとアウティング(公にしていないセクシュアリティなどの秘密を暴露すること)されて自殺した事件があったんですが、その1年後に遺族がアウティングした友人と大学の責任を追及して訴えたんです。

その自殺した子が僕と同じ一橋大の法学部だったっていうのもあるけど、LINEのやりとりを見たら僕とそっくりだった。
彼は、LINEグループで「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ。ごめん」ってアウティングされたのに対して、「たとえそうだとして何かある?笑 これ憲法同性愛者の人権くるんじゃね笑」って返してて、何とかポジティブに笑いに変換したい、うまくその場をやり過ごしたいっていう感じで。
僕自身も明るい自分でいなきゃってずっと思っていて、自殺しようと思ったことはないけど、それはたまたまなだけで、もしかしたら僕もそうなる可能性があったのかなって、すごくショックだったんですよね。
こんなことが二度と起きてはいけない、自分にはもっとやるべきことがあるかも、と16年勤めた電通を辞めて、NPO活動に専念しようと決めたきっかけでもありました。

教育の問題もありそうですね。

KABA.ちゃん:
うん、育ちも関係あるんじゃないかな。
私、小さいころから家は貧乏だったし、親が家にいなくて、いっぱいいじめられる要素があった。
でも当時、ジャッキー・チェンの映画とか、ドラマとかバラエティから処世術を学んで、いじめにも立ち向かってきたんです。
だから、テレビの世界にすごく興味があったの。

松中さん:
KABA.ちゃんの言う通り、子どもの世界は子ども同士で解決するのが一番だとは思うんです。
でも、テレビの力は強いから、これはいじめていいものとか、「ホモは異常だ」とかいうことを当たり前にしちゃうと、よくないんじゃないかなって。

KABA.ちゃん:
確かに、子どもたちは弱い立場だっていうのは考えないといけないかもね。
私も子どもたちとロケすると、「オカマなんでしょ」とか「男が好きなんでしょ」とか言われたから、「それ誰に聞いたの?」って聞くと、「お母さんたちが言ってた」って。
だから、子どもたちは素直なだけで、やっぱり親の影響って大きいと思うんですよね。

松中さん:
小学校の先生をしているゲイの友達がいるんですけど、「先生は何色が好きなの?」って小学4年生の子に聞かれて、「青かな」とか答えると「男っぽいね」って。
赤やピンクは女の子、青は男の子って、もう赤ちゃんのときから染み付いていますよね。
でも北欧では、男の子にも女の子にも、ロボットのオモチャもお花も全部一緒に渡して、好きなものを取らせるんだそうです。

KABA.ちゃん:
それで女の子がロボット選んだからって、レズビアンってわけでもないしね。
小さいころの刷り込みがなければ、色やオモチャの好みって男女関係なさそう。
男はこう、女はこうって、テレビで見たとか親が言っていたとかで、みんな格好つけて大人の真似して、そのうちそれが当たり前になっちゃうっていう。

読者には親世代もいますが、親としてどう教育したらいいですか?

松中さん:
僕が家族の前でカミングアウトしたとき、2分間ぐらい沈黙が続いた後、母が「ゴンがゴンらしく楽しいならいいでしょ」って言い始めた。
うちは母の弟のよっちゃんが、知的障がいのある人なんです。
子どものころから当たり前のようにいじめられてて、鬼ごっこの時にいつもよっちゃんが鬼をやらされるって、母は祖母に訴えたらしいんです。
そしたら祖母が「でもよっちゃんは鬼以外できないし、鬼にならないと一緒に遊べないでしょ。そうやってみんなで一緒に遊べばいいんじゃないの」って。
母は「私は何てこと考えちゃったんだ」と思って、それで教師を目指したそうです。

つまり、別にLGBTじゃなくて、他のことでもよくて。
いろんな人がいるっていうことをみんなが理解できたらいいと思うんです。
LGBTだとかわいそうとか、親のほうが勝手に決めちゃったりするけど、意外とこっちは「全然幸せです」という感じ(笑)。

KABA.ちゃん:
私たちみたいな人がいることが当たり前になってほしいですよね。
LGBTってくくられているけど、この枠いらないっていう感じがする。

松中さんは電通に入社したときからカミングアウトしていたんですか?

松中さん:
僕、大学4年からオーストラリアのメルボルンに留学したんですけど、それまではずっと言ってなくて、留学初日からカミングアウトしたんです。
そもそも留学したのも、ゲイスタディーズとかジェンダースタディーズを学びたくて。
でも日本ではそんなこと言えないから、「アジア太平洋地域における地域間協力の民間ビジネスの云々…を勉強しにいくんです」と(笑)。

オープンで楽しい生活を送っていたときに、たまたまシドニーで電通の人に会ったんですよね。
…で、電通では広告を作る以外にも、ムーブメントやイメージを作ったりもできるって聞いて、オーストラリアみたいに楽しい生活のできる日本を作るお手伝いができるかもと思って、電通を受けることにしました。
でも、その先輩に「ゲイだってことを言ったらうちの会社受かんないから」って言われて。
だから隠しましたよね。それが2000年。
そしてカミングアウトしたのは2011年です。
認定NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」を作った1年後に、雑誌の『GQ』がLGBT特集を組んでいて、「活動を紹介したいから名前と顔を出してもいい?」と聞かれたので、腹をくくって会社にも言いました。

一般企業で働きながらカミングアウトするのって難しいですか?

松中さん:
まだまだ大変です。差別や偏見なんて当たり前にあるし。
電通に入社してまたクローゼットに戻って、ノンケを演じる自分を本当の自分が冷ややかに眺めている、幽体離脱したような人生を8年ぐらい送ってたんですけど、この人だったら言ってもいいかなっていう先輩に出会ったんです。
韓国でのプロジェクトで一緒になったとき、仕事後に必ず女性が接待する夜のお店に行かなきゃいけない雰囲気だったんですけど、僕が苦手なのを察して、「こいつはちょっと仕事があるから」っていつも逃してくれて。

KABA.ちゃん
いい先輩ですね!

松中さん:
あるときオーストラリアの話になって、先輩が「オーストラリアに大親友がいるんだよ。サーフィン仲間でさ、カメラもやってて。ちなみにそいつゲイなんだけどさ」って言ったところで、会話が終わったんです。
…で、もしかしたら気づいてくれてるのかな、この人になら言ってもいいかもって思っていた矢先に、彼がサーフィンの事故で亡くなった。
もう一生の後悔ですよね。
亡くなった後、彼の奥さんと話してたら「ああ、聞いてたわよ。ゴンは絶対ゲイだって言ってた」って(笑)。
でも「お前ゲイだろ?」って聞かなかったのは先輩の優しさだなと。
こっちから言うまで黙ってたんだって。
そのことがあったから、電通でカミングアウトしてもいいかなって何となく思いました。

いろんな時期を経て今があると思いますが、自分らしさって何だと思いますか?

KABA.ちゃん
私、小さいころは自分のことを女だと思っていて、大きくなったらおちんちんはなくなると思ってたんですけど、小学校5年ぐらいのときに、保健体育の授業か何かで男女に分けられて、「私、男だったんだ!」って。
そこからは、男であることを受け入れて、男として男を愛していくしかないのかなって思ってましたが、その後芸能界に入って、番組を通じて恋愛対象が男性であることをカミングアウトしました。
怖かったですけど。

松中さん:
それ、すごい勇気ですよね!
当時、芸能界でカミングアウトしてる人はほぼいなかったし。

KABA.ちゃん
小室哲哉さんのプロデュースで音楽ユニット「dos」として活動していたときは、「ファンを裏切っちゃダメだ」みたいな指導があって、カミングアウトは止められてたんです。
あくまでも表に出るときは男らしくしててほしいと言われてました。

松中さん:
音楽番組のインタビューとかではあんまりしゃべらなかったですよね(笑)

KABA.ちゃん
キャラが出ちゃうからしゃべるな、と(笑)。
でも自分がなりたかった職業だから、そこは我慢しようと思っていました。
その後「いいとも」でレギュラーになって、「恋愛対象は男性だ」って言ったことでゲイだと広まったんですが、でも実はそのときすでに、自分は女の子になるんじゃないかなって思っていたんです。

それから、40歳を迎えるときに姉が乳がんになって、「あなたもいつ何があるかわからないから、後悔しない生き方しなさいね」って言われたときに、自分の中で一つだけ引っかかったのが、性別のことだったんです。
で、心療内科に通い始めて、性同一性障害の診断が下って、やっぱり私は女性であってよかったのかなって。
その思いと現実を一致させる方法があるんだったらトライしてみようと思いました。
お仕事のことを除けば、今すごく自分らしくいられて、楽ちんですね。

LGBTの人たちと、どう接したらいいかわからないという人も多いと思います。

松中さん:
カミングアウトされたら何て言えばいいんですか?」って問いに「ありがとうございます』って言いましょう」って教えるような、そんなマニュアル化は意味がないですよね…。

KABA.ちゃん
それまで通りでいいんじゃないの?

松中さん:
相手の気持ちに対する想像力があればいいんじゃないかな。
もちろん他人同士だし、究極はお互い何を考えているかはわかんないし、傷つけちゃう可能性もありますよね、そりゃ。
でも傷つけることを恐れずに、話をしたらいいと思う。
僕ゲイなんです」、「あ、そうなんだ。ところでさ…」ってなかったことにされちゃうのがいちばん辛い(笑)。

KABA.ちゃん
初めてアメリカにダンス留学したときに、ダンスやってる人にあからさまなオネエが多いのにビックリしました。
隠しもしないで堂々としてて、それがすごく魅力的で。
でもダンスはちゃんとやるし、みんなもそこにそんなに注目していなくて。
これが自然体なのかな、自分もそうありたいなって。
全世界がこういう感じだったらいいなと思います。

松中さん:
セックスに近い話でもあるから、みんな興味津々なんだよね。
ゲイってセックスモンスターみたいに思われちゃって、年がら年中セックスのこと考えてるんじゃないかって。

KABA.ちゃん
考えてるけど、そればっかじゃないのに!(笑)

松中さん:
休み休み考えてるんだから(笑)。
みんなと同じだよね。

2020年東京オリンピックに向けて、今後社会はどう変わっていくと思いますか?

松中さん:
東京都の小池百合子知事は、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、LGBTを含むあらゆる差別に反対するオリンピック憲章の理念を条例化するって言っていますね。
同性パートナーシップ条例も、渋谷区と世田谷区に続いて、港区議会でも請願が採択されたし、今後も広がっていくんじゃないでしょうか。
同性婚に関しても、それによって誰一人不幸にならない話ですよね。
誰かが幸せになることをお祝いするだけなので、ポジティブなメッセージを伝えていけばいいんじゃないかなって思っています。

KABA.ちゃん
結婚という名前ではないかもしれないけど、パートナー法とか、何かしらはできるんじゃないかな。

松中さん:
イギリスも、ロンドンオリンピックの後に同性婚ができるようになったんですよ。
東京オリンピックでも海外の人がたくさん入ってくるだろうから、何かきっかけになるかもしれない。
同性同士の婚姻の制度がないと、海外で結婚している同性カップルの関係が、日本ではないことになっちゃう。
例えば片方が日本人で片方が外国人のカップルの場合、異性婚だと外国人に配偶者ビザが出るのに、同性婚では出ないっていう不公平が生まれますよね。
そのあたりをどうにかしないとっていう問題にはなると思います。

僕、シドニーオリンピックを現地で見たんですけど、閉会式でカイリー・ミノーグが50人のドラァグクイーンを連れてショーをやったんです。
それが2000年。
2020年には、KABA.ちゃんがドラァグクイーン連れて閉会式ってどうですか?(笑)

KABA.ちゃん
あら、そんな力あるかしら(笑)。
じゃあLGBTでユニット作りますか。

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