LGBT

闇医者からホルモン・手術…モカさんが「納得できる性」に出会うまで

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2018年2月22日 配信
引用元:withnews

24歳で性別適合手術を受け男性から女性になったモカさん(31)が開いたウェブの人生相談には、日々、生きづらさを抱える悩みが寄せられます。
29歳の時には自殺未遂も経験したモカさん。
3歳ごろから「女の子」になりたく、長らく自分の性のあり方を模索してきました。
多様性が叫ばれる一方、性的マイノリティへの偏見は根強く残る現代社会。
モカさんに、今の時代に必要な性への向き合い方を聞きました。
(朝日新聞記者・高野真吾)

今年の抱負「求められることしたい」

東京・新宿2丁目にある女装バー「女の子クラブ」新宿本店。
モカさんは2018年の新年を経営するこの店で迎えた。
たる酒を鏡開きし、詰めかけた客と日本酒を味わった。

周りにいるのは、店長のくりこママ(33)やスタッフ、常連客など、気心の知れた仲間ばかり。
時計の針が午前1時半を回っても、賑やだった。

今年の抱負ですか?
そうですね、私に求められていることをしたい。
目の前や周りの人のことを考え、日々を過ごしたいです。

きれいでいたい

経営する店だが、モカさんはそう頻繁には足を運ばない。
カウンター内に入るのは、基本的に月に1度だけで、ママ任せにしている。
その時は普段よりしっかりとアイラインを引き、口紅も重ね塗りする。
衣装も華やかで「女になった自分を最も意識する時間」だ。

女の子クラブにくるお客さんは、全員が女装目的という訳ではありません。
女装をするお客さんも毎回ではなく、その日の気分に合わせての方が多いです。
女装しないお客さんに楽しんでもらうには、スタッフの接客は大切です。
ここに来たら、やっぱりきれいでいたい。
せっかく女になったのだから、華やかにし、お客さんに喜んでもらいたいですね。

「声は地声?」「15歳からホルモン摂取しているから」

2017年12月中旬、お店に取材に行くと、平日にもかかわらずカウンターは客で埋まっていた。

いらしたのは初めてですか?」。
18歳で別の女装バー、19歳で銀座のホステスをした経験があるだけに、モカさんは客のあしらいに慣れている。

男性客2人とスマホで写真を撮った際、「すごく可愛い!」とはしゃいだ。
甲高い歓声に反応し、男性の1人から「それ(モカさんの声)って地声?」と聞かれた。
すかさず「15歳の時から、(女性)ホルモンを摂取しているから」と応えた。

3歳ごろから「女の子になりたい」

3歳ごろから『女の子になりたいな』と、やんわりと思っていました。
そんなに個性的な子どもでなく、遊ぶ相手も友人も普通に男の子ばかりでしたが、この思いだけはありました。

いじめの経験はないという。

性的マイノリティは、いじめを受けることが多いけど、私は小学校、中学校共にそういうこともなかったです。
それはラッキーでしたね。

思春期になり、性への違和感が強くなっていった。

思春期になると、男の子はゴツゴツしてくるじゃないですか。
中学のプールの時間に発育の早い同級生男子の体を見て、『自分は同じようになりたくない』と嫌悪感を覚えた記憶があります。
肉体的に大人の男になる時期にさしかかり、逆に『女の子になりたい』と思う気持ちが強くなった。
ひそかに実行に移していきました。

女の子になることに熱中

モカさんは、中学を卒業する頃から女性ホルモンの摂取を始める。
ネットで調べ、通販で錠剤を購入し、飲み始めた。
女の子になる」正しい道かは不明だったが、何もしない訳にはいかなかった。

その後、高校に進学したものの、ほとんど通わなかった。
元来、興味がないことをしないといけない学校が苦手だった。
その代わり、性的マイノリティが集まる新宿2丁目に出入りするようになる。

女性ホルモン、メイク、ファッションの情報を集め、「女になることに熱中した」。

全部が全部、自己流で進めようと思ったわけではありません。
16、17歳の時、親にカミングアウトし、病院の精神科で性同一障害の診断を受けました。

そこで「男性脳」か「女性脳」か測るテストを受けたという。

自分を知りたく、ちゃんと真面目に答えました。
結果は『男性的でもあり女性的でもある。中間』でした。『えっ』ですよね。
こうした結果が出ると、『中間』を受け入れ、男のままでいることを選択するのが普通かもしれません。
ですが、私は『女になりたい』気持ちに素直に従うことにしました。

銀座ホステスの経験も

正規ルートで治療してもらえなかったので、「闇医者」で女性ホルモン投与を受けたこともあったと明かす。

2丁目に出入りしていたので、情報は色々とありましたから。

18歳で新宿2丁目にある女装バーで働いた。
その時、お店のママから二択で提示され、選んだ名前がモカだ。
19歳になると、銀座のホステスになった。

この頃には、見た目は女性として生活できていました。
親も見た目が女性になると、私の個性として受け入れてくれました。

それでも、モカさんは性別適合手術を受けたかったという。

ちゃんと女性になりたかったという気持ちがあった。
また、男性特有の機能を持ちつつ、女性ホルモンを摂取するのは、体への負担が大きかったこともあります。
高校はいかなくて、2丁目をフラフラしていたけど、経済的に自立することは念頭にありました。
女装バー、ホステスの経歴だと、その先はどこかのお店のママになる可能性が高い。
他の選択肢も欲しく、ウェブデザイナーの勉強を独学で始めました。

タイで性別適合手術

モカさんは、好きなことは、何時間でも集中し、できるタイプだ。
ホステスの傍ら勉強を続け、20歳になるとウェブの会社に入社した。
10カ月後、そこを辞めて起業し、新宿2丁目に出入りした経験を生かし、女装イベントを始めるなどした。

起業は成功し、お金がたまりました。
24歳の時、こうした手術が進んでいるタイに渡りました。
約160万円かけ、肉体的に男性から女性になりました。
戸籍ですか?
その数年後に男性から女性にし、名前も変えています。
手術をし、生まれ変わったことに安心したからかな、戸籍変更が手術の数年後になったのは。
あと、会社の名義を変えるなど、色々と手続きが多く、先送りしたというのもあります。
戸籍よりも肉体的に女になったことの方が、私には重要でした。

「両性の部分生かされている」

肉体的にも戸籍上も、女性になったモカさんだが、「男性らしい部分も女性らしい部分もあり、色々な部分で生かされている」と語る。

客が女性としての華やかなモカさんを求めている「女の子クラブ」では別だが、他で男性と話している様子は、かなりさっぱりしている。
男友達同士の会話のようだ。
女性も男性も恋愛対象になる。

両性ともにバランス良く自分にあるのは便利だと思いますね。
色々な物事が、フラットに見えますから。
ただ、『男性として生きられるか?』と聞かれれば、ノーです。

モカさんが女性になる生き方を選んだ理由は「自由だから」だった。

ズボンもスカートもはきたい。
髪の毛は、ロングにもショートにもしたい。
女性の方がそんな自由を選択しやすいから、私は女性になる生き方を選んだのだと思います。

「他者の性自認否定しないで」

LGBTという言葉のうち、Lのレズ、Gのゲイ、Bのバイセクシャルというのは、性指向のことを指します。
どんな性別の相手を好きになるかです。
一方、Tのトランスジェンダーは、性自認、つまり自分の性別をどう捉えているかです。
自分の性に納得できたら、生活上の問題はなくなっていくのでしょう。
その納得を生むためにも、他者の性自認を否定する言葉は発して欲しくないですね。
いじめは受けなかった私も、そうした言葉で傷ついた経験はありますから。

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