トランスジェンダー

性の多様性が認められる社会とは~あなたの側にいるLGBT当事者の声

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2018年5月6日 10時00分 配信
引用元:Yahoo!ニュース

ここ数年で耳にするようになった性的少数者(セクシュアルマイノリティ)を表すLGBTという言葉。
テレビではLGBTを公言する有名人を目にするのは日常的となった。

LGBT調査2015(電通ダイバーシティラボ調べ)では、LGBTと自認する人は全体の7.6%という結果が出た。
これは左利きやAB型の人とほぼ同じ割合だ。
にもかかわらず、我々の身近に「いない」のはなぜか?
多くの人がLGBTの存在を知っているにもかかわらず「自分の生活圏にはいない“特別な人たち”」と考えてはいないか。
そういう空気が蔓延する環境で、私たちの隣人のLGBT当事者たちは安心してカミングアウトできるだろうか。

埼玉県で暮らす加藤圭さんは女性として生まれてきたが性自認は男性という、いわゆるトランスジェンダーだ。
3年前まで女性として小学校の教員をしていたが、学校にカミングアウトを受け入れてもらえず辞職した。
自分と同じ思いをしている生徒や教職員がたくさんいるはず。そういう人たちの参考になればと」そう考えた圭さんは公の場で自分の過去を語り、想いを伝えることでLGBT当事者を取り巻く環境が少しでも良くなればと考えている。

以下の映像では、その加藤圭さんが、カミングアウトを経て家族や周囲とのあり方をどう変化させていったかを追いかけた。

幼少期から就職まで

幼い頃から水泳、サッカー、野球、卓球など様々なスポーツに親しみ、まさに“男勝り”だった圭さん。
初恋は物心ついたころ、近所に住む女の子だった。
成長するにつれ体への違和感を覚えはじめ、小学6年生で初めて経験した生理でそれは決定的なものになる。
中学や高校ではセーラー服を着るのが苦痛で、毎日女装しているような感覚だったという。
体育大学に通ってからは自分の好きな服を選んだり、彼女ができたりしたが、ごく親しい友人以外には自分の性について語ることはなかった。

大学卒業後は「子供達に多様な生き方を伝えたい」という想いから小学校教師として働いた。
しかし、保護者なども参加する学校行事では女性としての役割や身なりが求められることが多く、まわりに相談できる相手もおらず、精神的に窮屈になる状況が続いた。
やがては親しい教員や児童にまで、常に何かを隠している、嘘をついているような感覚がつきまとい良心の呵責に苛まれるようになってしまう。

転機は現在のパートナーで元同僚だったわかなさんとの出会い。
交際を続けるうちに性別を変える戸籍変更を考えるようになった圭さんは、学校でも男性として働きたいと当時の校長へ相談する。
しかし教員の更衣室やトイレの問題、さらに児童の混乱が予想されることを理由に協力を断られ、圭さんは辞職の道を選んでしまう。

2年前、わかなさんへのプロポーズを機に自分の両親や友達にもカミングアウト。
LGBTをとりまく社会的な問題について積極的に学ぶようになり、なにも悪いことをしていない自分が教員を辞めるべきではなかったことを確信する。
それからは教育現場の環境改善を目的とした勉強会などに出向き、同じ境遇のLGBT当事者へ自らの体験を伝えるなどアドバイスを行なっている。

公の場で自分の経験を話す

現在、圭さんはトランスジェンダー当事者としての経験を語る活動を行っている。
これまでにも埼玉県内でのセミナーや徳島県でのシンポジウムなど様々な場所で登壇してきた。

そのうち一つが去年11月に行われた「虹色の式典in彩の国さいたま~第2回LGBT成人式@埼玉~」。
もともと東京ではじまったLGBT成人式は、LGBT当事者をはじめ年齢問わず誰でも参加できるイベントだ。
実はLGBT当事者は20歳の成人式に参加しづらい方や、出席できない人も多いそうだ。
特にトランスジェンダーの人たちは、自分が望まない性別の晴れ着を着ることになるため出席をためらう。
圭さんも振袖を着るのが嫌で20歳の成人式には参加しなかった。

LGBT成人式では、20歳の成人式を自分らしく参加できなかった人たちもあらためて参加できるように、年齢などの決まり事を特に設けていない。
成りたい人になる」というスローガンを掲げ、LGBTをはじめとした全ての人たちが「自分らしく生きていてほしい」という願いを込めた、広い意味での「成人」を祝っている。

さらに東京ではなく埼玉という「地方」で開催することにも意味があるという。
東京と違い、地方の閉鎖的な環境に身を置かざるを得ないLGBT当事者は、同じ悩みを共有できるコミュニティが少ない。
イベントを通して埼玉のLGBTの交流の場になればと考えている。

圭さんはその趣旨に賛同し、今回は実行委員の一人として運営に参加。
式典当日には両親と共に登壇し成人のことばを述べた。
来年2月のLGBT成人式@埼玉では共同代表の一人になることが決まっている。

親へのカミングアウトに悩む当事者はたくさんいるので、自分の経験が少しでも参考になればと思っています

LGBT当事者が住み良い社会に向けて

現在、圭さんはパートナーのわかなさんとともに暮らしている。
昨年には2人の親しい友人知人、家族を招いて手作りの結婚式を挙げた。

しかし、わかなさんの親族は全員欠席。
わかなさんの両親がトランスジェンダーである圭さんとの交際に反対し、二人は勘当されているからだ。
それでも圭さんとわかなさんは二人で生活を共にするという選択については後悔しておらず、これからも自分たちの想いを大切にしていきたいと考えている。
しかし圭さんは自分の両親との過去を振り返ると、わかなさんの両親の気持ちも理解できると言う。

わかなの両親が悪いわけでも、わかなが悪いわけでも、自分が悪いわけでもない。誰も悪くないのになぜ皆傷ついてしまうのか

圭さんは性の多様性が認められる社会になればこんなことも起こらないと考えており、それが普段の活動の動機にもなっている。

自分の性についてはある程度決着がついた。これからは自分のことだけでなく、パートナーや将来生まれてくる子供のため、もっと住み良い社会にするために活動していきたい

この4月、圭さんは埼玉県内の特別支援学校で臨時教員としての採用が決まり、公私ともに新たな一歩を踏み出した。

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