LGBT

勝間和代×増原裕子「人は皆“マイノリティー”」

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2018年8月23日 配信
引用元:日経ビジネスONLINE

「マイノリティー性の自覚」で、自分も社会も幸せになる

今年5月、ネット上を駆け抜け話題となったのが、経済評論家・勝間和代さんの“カミングアウト”だった。
愛する女性と暮らしている」というその宣言は、世間を驚かせると同時に多くの祝福を集め、LGBT(同性愛者、両性を愛する人、生まれ持った性とは違う性を望む人など)の社会的認知をさらに高めた。
勝間さんのパートナーは、企業向けのLGBT研修などを行う増原裕子さん。
LGBTへの理解・支援推進によってこれからの社会はどう変わっていくのか。
私たちはどう行動したらいいのか。当事者の2人から伺った。
(聞き手:宮本恵理子/写真:鈴木愛子)

宣言したことによって、日常生活に変化は?

勝間和代さん(以下、勝)
仕事上も生活上も特に変化はありませんね。
子供たちも普通に受け入れてくれていますし。
唯一の変化は、やたら取材依頼が増えたこと。
私はほかにもいろいろ活動しているのに、なぜLGBTネタだけ?」と言いたい(笑)。

増原裕子さん(以下、増)
私にとってはメリットだらけです。
食事や旅行も気兼ねなく、2人で楽しめるようになりました。
お互いの友人にも紹介し合えるので交流も広がります。
前は、彼女がSNSに投稿する写真に写り込まないようにと気を使ったりしていましたから。
自分にとって普通の生活を普通に楽しめる。
これがやはり一番の幸せだな、と実感しています。

最近では、LGBT施策に乗り出す企業も増えています。


潮目となったのは、2015年に自治体が公的なパートナーシップ証明書発行を始めたことです。
東京都渋谷区と世田谷区が先陣を切りましたが、やはり公的な存在としてLGBTのカップルが認められ、公的なサポートを受けられるようになったのは大きい。
以降、多様な人材の受け入れのために体制を整えていこうとする企業は増え、アライ(ally、支援者)の意思表明も広がっていきました。

一方で、「頭では分かっていても、気持ちが追いつかない」という正直な反応もまだまだ聞きます。


それが素直な反応だと思います。
これまで共有されていなかった問題が可視化された時、そういう違和感は必ず生まれるものです。


例えば、「セクハラ」という概念が導入された時にも、「今まで普通にやってきたことなんだけど…」と感じた人が多かったはず。
気持ちはすぐに追いつかなくても、まず言動や振る舞いを変えていく。
それだけでも、LGBTの人にとって安心して暮らせる環境につながっていきます。


差別解消のフェーズで位置づけると、LGBTはまだまだ初期段階。
あいつオカマなの? 気持ち悪い」といった発言に見られる“意識的な差別”を、まずは取り除こうというステージでしょう。

同じ差別でも女性に関しては、1985年に男女雇用機会均等法が、3年前に女性活躍推進法が成立し、企業も数値目標を掲げるようになりました。
意識的な差別”は解消に向かっているとは思いますが、「重要な会議に、何となく女性だけ声をかけない」といった“無意識の差別”はまだ根強く、中長期で見た時の活躍度の男女差につながっていると感じます。


法律や制度の整備もこれからというLGBTの問題は、社会課題としては対応が始まったばかり。
均等法に相当するような法律の整備も今求めているところです。
LGBTは全人口の13人に1人が当事者だと言われていて、マイノリティーと言ってもそんなに少なくない。
LGBTの人が生きやすい社会が実現すれば、他のマイノリティーの方々の生きやすさにもつながっていくはずです。

「寛容な社会」は、ちょっと上から目線

多様性に対してもっと寛容になれる社会が実現すると。


寛容になる」というより、「当たり前のものを当たり前として受け入れる」という感覚でしょうか。
寛容」と言うと、ある固定化されたスタンダードからはみ出たものを“許す”という印象がありますよね。
上から目線」というか。

なるほど。失礼しました。


いえ、多くの人が誤解しがちな重要なポイントです。
人は誰でも他人と違った“マイノリティー性”を持っていることに気づき、お互いにそれをさらけ出し、尊重し合える社会を目指していく。
それがLGBTの課題解消の先にあるゴールなのだと思います。

イケメンで背が高くて高学歴で、一見何も弱みがなさそうな人でも、実は難病を抱えているかもしれない。
つまり、100%順風満帆な人なんていないんです。
でも、これまではそれを堂々と言いにくかった。
必死に隠して無理して周りと合わせた結果、問題が肥大化して、突然の離職やうつの発症など深刻な状況を招いてきました。


みんな一緒だよね? 同じ集団だよね」と足並みを揃えるのは、大量生産型産業で経済を伸ばしてきた時代にはプラスに働いたと思います。
同調意識が強い国民性が経済にも貢献した。
でも、本当は私たちは皆違って、多様だった。

多様性の否定による弊害に政府も気づいたので、「ダイバーシティー」を強調するようになったのでしょう。
企業もまた、消費者の多様性を重視して画一的なマーケティングを脱しようとしています。


7月に大和総研が発表したリサーチでは、政府が昭和40年代から家計調査の対象としてきた「4人世帯・有業者1人」の“標準世帯”は全世帯の5%未満になっているとか。
標準」や「普通」という枠で私たちをくくることに、すでに歪みが生じているのは明らかです。

続きは「日経ビジネスONLINE」をご覧ください。

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