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「好きに性別は関係ない」琵琶湖でLGBTら150人がパーティー 性の多様性を理解して

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2018年9月11日 11時21分 配信
引用元:iZa(イザ)

大津市で8月下旬、琵琶湖の遊覧船にLGBT(性的少数者)らやその支援者らが集い、交流する催しが開かれた。
国内外から約150人が参加し、女装家や筋肉質の男性らによるパフォーマンスも繰り広げられた。
開放的なパーティーを楽しんだ参加者たちは「カテゴライズや偏見が、いかに意味のないことかという認識を広げていきたい」と話していた。

船上でドラァグクイーンらがダンス

厳しい暑さもやや和らいだ夏の終わりの夜、大津港に「バーレスク」と呼ばれる露出の高い衣装を着けた踊り子や、派手な化粧と衣装、髪形をしたパフォーマー「ドラァグクイーン」らが集まった。

他にも、和服にハイヒールなど個性的ないでたちの人が多い。
琵琶湖クルーズ船の代名詞となっている遊覧船「ビアンカ」は、「性別不明」な人たちの登場に普段と違う雰囲気に包まれた。

LGBTはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(体と性が一致しない人)の頭文字をとった総称。
ほかにも、国際的には自分の性別が分からないQ(クエスチョニング)への認識も広がっている。
大津市は昨年、LGBTの課題解決に取り組む「おおつレインボー宣言」を発表、積極的にLGBT支援を進めており、今回のイベントは取り組みに賛同した京都市の旅行代理店トラベル京都が主催し、大津市も後援した。
LGBTへの偏見や誤解をなくし、多くの人に理解を深めてもらおうとの趣旨だ。

差別とか区別とか関係なく

船が動き出すと、3階のフロアでは和服にスカート、十数センチのヒールを身につけたドラァグクイーンの胡麻団子さんの司会でダンスショーが始まった。
音楽に合わせて踊るバーレスク、鍛えた肉体美を披露する「GOGOボーイ」、コミカルで陽気なダンスのドラァグクイーンらのステージに、会場は最高潮に達した。

甲板上では、参加者たちが湖の風を感じながら酒を飲んだり、おしゃべりをしたり。
京都を拠点にショーなどで活躍するドラァグクイーンのフランソワ・アルデンテさんは「世界をクルーズしている気分。普段夜の世界にしかいない私たちが、参加者といろいろな価値観をボーダーレスで楽しめました」。

ゲイの田中匡さん(47)は京都から友人らと参加。
東京など大都市では価値観が多様で比較的理解してもらえるが、地方ではまだまだ冷たい目で見られる」と話す。
田中さんはゲイをカミングアウトし、LGBTを支援するホテルで勤務した経験もある。
私たちは少数派。でもここでは、差別とか区別とか関係なく楽しめる雰囲気がある。性への偏見なしでいろんな人と交流できるのがうれしい

イベントに協力した一般社団法人「結婚トータルサポート協会」の理事で、大津市のLGBT啓発推進アドバイザーも務める岸本誠さん(58)は「多様性を受容できたとき、社会は成熟していく。世界では25カ国が同性婚を法的に認めているが、日本の行政の手続きでは男女の異性愛のみが当たり前だ」とし、マスコミを含めた情報発信も生物学上の「男女」を前提としたものが多いと指摘する。

大津市が後援

イベントには大津市の越直美市長も姿を見せ、「誰も自由に、自分が思っているように生きられる社会作りを大津市から取り組んでいきたい」とあいさつ。
市の後援には参加者も好意的で、「行政が絡んでくれているのも、心おきなく楽しめる理由」(参加者)といった声も聞かれた。

同市は幹部職員にLGBTへの理解を深める講座の受講を義務付けたほか、7月の知事選では投票所の入場整理券で性別欄をなくし、一部投票所にあった男女別の受付も廃止した。

性志向を含めた人権の尊重には行政の協力が不可欠だが、性的少数者の中には行政へ不信感を持つ人も多いという。

8%の人へ 行政の協力を

平成28年にLGBT専門マーケティング会社「LGBT総合研究所」(東京)が20~59歳の約10万人に行った調査では、LGBTに該当する人が約5.9%、そのほかセクシュアルマイノリティーに該当する人が約2.1%いた

大津市の例のように、行政側にもLGBTへの取り組みが広がっている。
東京都渋谷区が条例に基づき、27年11月に同性パートナーを結婚に相当する「パートナーシップ」と認める証明書の発行制度を開始。
法務省人権擁護局によると、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市などでも要綱に基づいて「宣誓受領証」を発行しているという。

今回のイベントを主催したトラベル京都の末継佳大さんは「LGBTの認知度向上が急務な中、著名な大津市が支援宣言をした。市の観光資源である琵琶湖を利用し、観光と人権啓発への取り組みを掛け合わせた企画をしたかった」と話す。

船内で行われたショーでは、当事者らの思いが参加者に届いたようにみえた。

末継さんは「(今回のイベントを通じLGBT以外の人からも)『見方が変わった。今までは敬遠していたけどウエルカムになった』などの意見をもらった。偏見を払拭するには、楽しい時間を共有するというコミュニケーションを通じて、当事者も非当事者も変わっていく。多様性のある社会の本質はそこから始まると思う」と話した。

(杉森尚貴)

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