LGBT

全員違うセクシュアリティ『性性堂堂』が訴える「違うからおもしろい」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

2018年10月27日 配信
引用元:毎日新聞

レズビアン、ゲイ、トランスジェンダー、アセクシュアル、Xジェンダーの20代5人が、セクシュアリティについて語るユーチューブチャンネル「性性堂堂」が10代を中心に人気を集めている。
2017年5月から配信を始め、チャンネル登録者数は約1万人、総再生数は153万回を超えた。
異なるセクシュアリティーが交わり、メンバーたちも動画内でお互いの話に「そうだったんだ」と驚き合う。
違うことがおもしろい」という性性堂堂の魅力を探った。

東京都内にある大学の教室に5人が集まった。
性性堂堂のメンバーは、レズビアンのなとせさん、トランスジェンダーのゆういさん、他者に性的にひかれることのないアセクシュアルのなかけんさん、自らの性を男性でも女性でもないと感じているXジェンダーのまるるさん、そして、5月から参加している新メンバーでゲイのヒロキさんの5人。
好きな芸能人を聞かれたら、みんな何て答えてた?」「あ、これ動画のネタになるよ」。
おしゃべりの延長で、動画の撮影が始まった。
リハーサルや撮り直しもしない。
15分ほどで1本の動画を撮り終えた。

きっかけは、まるるさんが所属するボランティアサークルが昨年3月に開いた性的少数者に関する勉強会。
なとせさんら3人がゲストとして参加し、初対面だったがすぐに意気投合した。
一緒に動画で発信しよう」とスマホで動画を撮り、初めてアップしたのは5月。
最初は投稿の仕方もわからなかった。

数カ月後、初めてヒットした動画が、なとせさんが語る「レズビアンあるある」だ。
女性同士ではどんな人がモテるのか、クラブはどんなところか、恋人のことを周囲に話す際は「彼氏」ということにする--。
現在まで再生回数は24万回を超えた。
そして、これまでで最多の約27万回再生されたのが、ゆういさんが昨年3月に受けた性別適合手術とその後について語る「性転換から1年経ったけど何が変わった!?」。
ゆういさんは「確かに大変なこともあるかもしれないけれど、ハッピーに生きている先輩がいることを下の世代に知ってほしい」と話す。
重くなりがちなテーマも、あっけらかんと話せるのがこのチームの魅力だ。

ほかにも、「わたし?ぼく?一人称迷子です」「生徒にカミングアウトされたらどうする?」などこれまで145本の動画を投稿。
ファンの多くは10代で、学校の先生から質問が寄せられることもある。

「したけりゃすればいいし、したくなければしなければいい」

LGBT」とひとくくりにされることの多い性的少数者だが、コミュニティーはセクシュアリティごとに分かれていることが多い。
新宿二丁目でも、ゲイとレズビアンはコミュニティーが分かれている」となとせさん。
異なるセクシュアリティの当事者同士が交流する機会は意外と少なく、「違いをおもしろく伝えているのが性性堂堂のいいところ」とまるるさんは言う。

1月にアップして約24万回再生されている「メンバーの性事情を徹底的に話した結果。」は、その代表的な動画。
性欲を感じるかどうか、また、感じた時にどうしているかを話す内容。
なとせさん、ゆういさんが「人間の生理的な現象を恥と思うのは良くない」と赤裸々に語る一方で、他者に性的にひかれないなかけんさんが、「なんでほかの人を見てムラムラするの?」とメンバーに問いかける。
結論は「したけりゃすればいい、したくなければしなければいい」。
まるで価値観が違うメンバーたちが、お互いの考えを尊重する様子が受けたようだ。
みんな、もっとコミュニティー間をうろちょろ行き来すればいいんだよ」と、なかけんさんは笑う。

マイノリティーの代表になる不安もあった

メンバーは全員が最初から堂々と顔を出し、カミングアウトできていたわけではない。
動画を始めたころは、まるるさんはマスクを着けて登場していた。
たまたまマスクを忘れた日に、「まあ、いいか」と思い切って素顔で出演し、振り切ることができた。
ヒロキさんは、親や友人にカミングアウトできず、「LGBTはテレビの中だけのこと」と思っていた。
自分をゲイだと認めるのが怖くて、ほかの当事者に会うこともできなかった。

発信力が強まることで新たな悩みも生まれた。
手術を受けて戸籍を女性に変えたゆういさんは、「女性として生活しているのに、なぜ過去のことを話さなくちゃいけないのかと思ったこともあった」という。
あえて「トランスジェンダー」であることを世間に発信する意味について悩んだこともあった。

アセクシュアルとして名前と顔を出し、インタビューに応じる機会が多いなかけんさんも、「自分の中に『アセクシュアルっぽくない部分』もあるのに、自分の発言がアセクシュアルの人の総意だと思われてしまう」と不安があった。
なとせさんも、「マイノリティー性があると、その代表のようになってしまう。もし下ネタを言ったら、レズビアンはみんな下品だと思われてしまうと考えていたこともあった。そうではなく、おもしろい人がいて、その人はレズビアンだったというふうになりたい」と話す。

それぞれの葛藤を乗り越えることができたのは、この場所を通じて違和感や悩みも含めて議論し、気づきを得たり、多様性について学んだりすることができたと感じているから。
ここで話したいと思うことがある限りは、永遠に性性堂堂は続く。メンバーが代わっても、この場所があることに意味がある」となとせさんは言う。

身近な人たちには聞きづらいことがわかったり、『こんなに自由でいいんだ』と思ってもらいたい」と話す。
友達のような存在になるのが目標。
11月18日には、東京・池袋でオフ会を開く。
いつもネット上でしか交流できないファンと話せる機会で、ワクワクしている」となとせさん。
発信するばかりでなく、お互い、元気の交換ができたら」と話していた。

詳細は、https://seisei.peatix.com/view

(中嶋真希)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る