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LGBT病院は苦痛 保険証の性別、見た目異なる… 受診ためらう「配慮を」

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2018年12月3日 16時00分 配信
引用元:熊本日日新聞

体と心の性が異なるトランスジェンダーをはじめ、性的少数者(LGBT)にとって課題の一つになっているのが医療の壁。
戸籍上の性別と見た目が異なるなどの理由から、病気になっても受診をためらう人が多いためだという。
熊本県内の医療現場でも性的少数者が受診しやすい環境をどう作るか、模索する動きが始まっている。

長く働いているが、性的少数者を診察したことがない。

医療関係者からそうした声が聞かれるが、背景には偏見や差別を恐れた受診控えがあるという。
支援に取り組む「ともに拓[ひら]くLGBTQ+の会くまもと」は11月下旬、県内の当事者と医師が議論する医療環境改善セミナーを熊本市で初めて開催。
今坂洋志代表(66)は「当事者が打ち明けられないだけなのに、存在しないことにされている現実は間違っている」と訴えた。

性同一性障害と診断されたゆうさん(28)=仮名=は現在、ホルモン治療をしながら戸籍も改名し、男性として生きている。
ただ、改名前は保険証を提示しても本人と認識されず、他人のものを使っていると疑われた。
同じ悩みを抱える友人の中には、受診せずに体調が悪化し、倒れた人もいる」と厳しい現実を打ち明けた。

トランスジェンダーのくみかさん(32)=仮名=も、性自認に合わせて戸籍名を女性の名前に変更。
ただ、保険証の性別欄を見られるのが苦痛で、性別を裏面に記入している。
ホルモン治療を始めて体つきが変わり、より病院をためらうようになった。理解ある病院が増えてほしい」と呼び掛けた。

LGBTは総人口の7~8%に上るとされるが、対応はこれからという病院が多い。
国立病院機構熊本医療センター(中央区)はこのほど、職員を対象に意識調査(約200人が回答)を実施。
LGBTについてうまく説明できない」との回答が5割を超え、職員向けの啓発の必要性を感じたという。
熊本大医学部では2017年度から教育課程にLGBTへの理解を深める内容を導入し、学生段階から啓発を始めた。

セミナーに参加した熊本市の病院で働く看護師のめぐみさん(52)=仮名=は、トランスジェンダーの患者が入院した際にスタッフで対応を話し合い、個室を確保した例を紹介。
同性愛者の立場から「当事者には繊細な人が多く、スタッフで必要な情報を共有しながら対応できる環境が大切だ」と訴えた。

毎年15人程度のトランスジェンダーが受診する精神科・心療内科の長嶺南クリニック(東区)では、問診票に「ジェンダーに違和感があるか」という問いを加え、通称や名字だけを呼ぶなど配慮をしている。
性別や障害の有無にかかわらず使える「だれでもトイレ」も設置。
平村英寿院長は「医療側が想像力を働かせて積極的な配慮をしてほしい」と話している。

(清島理紗、林田賢一郎)

(2018年12月3日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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